90° desk

90° desk

家具 / 自主製作
2025, Tokyo

自分たちの手で組み立て、暮らしに合わせて形を変えていく。そんな『育てる家具』としてのデスクを自宅に設計する。板の向きを90°変えるだけのシンプルな工夫で、強度と美しさを両立。余白を残したこの場所が、私たちの不確かな未来にそっと寄り添う骨格になる。

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用途 : 机、収納
寸法 : W1,600 × D440 × H720
材料 : ラワンランバーコア t24、オーク突板、OS+UC
製作費 : 60,000円

余白と倫理

私たちは、家具を単なる機能的な道具ではなく、生活に寄り添い、変化を受け入れる「骨格」として捉えています。この設計において最も重視したのは、構造と意匠、そして施工性のすべてがひとつの理(ことわり)に収束することです。全ての部材をパネルで構成し、複雑な仕口を排除することは、素人の手でも組み立てが可能であるという「施工の民主化」を目指すと同時に、将来的な収納の拡張性を担保するための選択でもあります。

デスクと収納を意匠的に切り離した理由は、その純粋な構造にあります。木ダボによる接合は、本質的にピン接合に近く、水平力に対して脆弱です。そこで私たちは、デスクの側板2枚のうち、片側のみ90度回転させて配置しました。それにより、X軸・Y軸両方向の水平力に対して、わずか2枚の側板のみで力学的な異方性を確保し、自立させる。この構造的な解決策が、結果としてデスクと収納を分かち、独自の造形美を生み出しました。

余白を残すこと、そして機能が変化し続けられること。 それは、不確かな未来に縛られず「今、ここに生きる」ことへの倫理的な応答です。その誠実なプロセスの先にこそ、私たちが求める真の美しさが宿ると信じています。